『選任等・報酬等に対する 監査等委員会の意見陳述権行使』

日本監査役協会は、11月24日、『選任等・報酬等に対する監査等委員会の意見陳述権行使の実務と論点―中間報告としての実態整理―』と題するレポートを公表しました。監査役及び監査委員会にはない新たな権限の行使のあり方を検討するための論点を議論するに際して海外の実態、実際に監査等委員会設置会社に移行した企業へのアンケート等を中間報告という形でまとめたものです。(詳細、報告書のダウンロードは。。。。)

国際的腐敗行為防止事件の展開2016年9月の10大ニュース

モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所は、11月22日、リーガルニュース” 国際的腐敗行為防止事件の展開2016年9月の10大ニュース” (日本語・英語版)を公表しました。
同誌では、「9月の国際的腐敗行為に関する事件の進展について最も重要なものについて、要約と、情報源のリンクを提供する。米国司法省(DOJ)の「ディスゴージメント(利益吐き出し)を伴う不起訴処分」とは何か。証券取引委員会(SEC)がその会計年度最終月に解決できたFCPA事件がいくつあったか。韓国の新腐敗行為防止法の抵触を避ける方法はどのようなものか。これらの答えをこの2016年9月の10大ニュースで紹介」しています。(…以下詳細)

金融庁、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表

有価証券報告書の記載内容に「経営方針」を加えるための改正案です。

http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20161108-2.html

今回の改正案は、4月に公表された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告で、企業と投資家との建設的な対話を促進していく観点から、現在、決算短信の記載内容とされている「経営方針」について、決算短信ではなく有価証券報告書において開示すべきことが提言されたことを受けたものです。

【改正による追加項目】
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
a 最近日現在において連結会社(連結財務諸表を作成していない場合には提出会社。)が経営方針・経営戦略等を定めている場合には、当該経営方針・経営戦略等の内容を記載すること。また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、その内容について記載すること。

株主利益を無視?―取締役は買付価格にして1.6倍 明らかに好条件の対抗提案を無視できるか

日本のM&Aに一石を投じる案件である。投資ファンドのアスパラントグループが和装のさが美の株式を、さが美の親会社であるユニー・ファミリーマートHDから56円で買い取るTOBを公表したのは8月17日。続く9月27日、こちらも投資ファンドのニューホライズンが、ユニー・ファミリーマートとに対して70円でさが美株式を買い取るという対抗提案を申し入れ、さらに30日には90円に引き上げている。買付価格にして1.6倍、この経済的には明らかに好条件の提案に対して、しかしながら、ユニーはいまだ沈黙を続けたままだ。

日本企業においては、企業価値の最大化が経営陣の第一義的な責務とは、必ずしも考えられてこなかった。ある意味、個人株主の経済的利益をおざなりにしてきたこの企業風土にメスを入れるのが、昨今のコンプライアンス改革である。

日本企業のコンプライアンス意識は果たして変わったのか。ニューホライズンの提案に対するユニー・ファミリーマートの対応は、その試金石となるだろう。事案を詳ししく見ていこう。

Jones Day:「少数株主のキャッシュ・アウトにおける株式取得価格に関する最高裁決定」

「最高裁判所(第一小法廷)は、平成28 年7 月1 日、公開買付け後に少数株主のキャッシュ・アウトのために行われた全部取得条項付種類株式の取得の価格決定につき、実務上大きな影響を与える決定(以下「本決定」といいます。)を下しました。

本件は、公開買付けに応じず、その後、全部取得条項付種類株式の取得によって強制的に株式を取得された少数株主が、公開買付価格と同額とされた当該株式の取得価格につき不満を示し、裁判所に対し、公正な取得価格の決定を申し立てた事案です(平成27 年5 月の改正会社法施行前において、普通株式を全部取得条項付種類株式に転換した上でこれを強制的に取得するという手法が、少数株主のキャッシュ・アウトのための手段として頻繁に使用されていました)。

コーポレートガバナンス国際比較法

8月上旬、東京大学法科大学院のサマースクールに参加した。今年のテーマはコーポレートガバナンス。様々な法域から訪日した7名の教授陣による国際比較法講座となり、さらには経済学からの視点も合わさって、大変興味深い内容であった。比較法で重要な軸となるのが「機能」。プリンシパル・エージェンシーコストのうち、株主・経営陣間にあるそれを軽減するという機能から見ると、独立取締役、敵対的TOB、proxy-fight、株主代表訴訟が同列に論じられるというのが、今更ながらに新鮮であった。

ドイツから来たハラルド・バウム教授は、BDTIのアドバイザーでもある。ドイツは、1861年から2層式のスーパーバイザリーボードという機関設計をとり、経営と監督の分離が確立している。しかし、監督者の多くは、経営陣や大株主と関係を持っており、さらには1976年からは従業員代表取締役も加わることとなって、さらに内部者色が強まった。経営陣や大株主から隔絶した「独立取締役」というアイデアは、創業家の影響力の前に、未だ浸透が進まないようである。詳しくは、バウム教授のレポート”The Rise of the Independent Director: A Historical and Comparative Perspective”を参考にされたい。

創業家の影響力については、日本の上場企業でも経営陣との対立を巡ってしばしば話題を呼ぶ。イギリスのメイ首相はコーポレートガバナンス規制の改革を表明し、ドイツ式の従業員代表取締役に感心を寄せている。今後、ドイツのコーポレートガバナンスが注目される機会が増えそうである。

パナマ文書と文書化義務

パナマ文書により、国際税務に関する関心が再度高まっています。

OECDでは、BEPS*対策として、行動計画を取りまとめています。そのうちの行動13は「多国籍企業情報の文書化」です。

*BEPS: Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転:多国籍企業が国際的な税制の隙間を利用して租税回避する問題

これを受けて、日本の平成28年度税制改正は、租税特別措置法の一部を改正し、移転価格税制に係る文書化を一定の多国籍企業グループに義務付けました。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/h28iten-kakaku.pdf

該当する企業は、マスターファイル、ローカルファイル、国別報告書などの文書が、適切に作成・提出・保管される体制を構築する必要があります。会社法もまた、企業集団の業務の適正が確保される体制を求めており、海外子会社も含めて整合的に移転価格を取り扱うことがさらに重要になるでしょう。また、税務当局による移転価格調査も容易・広範になり、課税額に関する争訟が将来増えることも考えられるところです。

以下では、田辺総合法律事務所が過去に取り扱った、移転価格税制に関する事例をご紹介します。

山口利昭弁護士ブログ:ロート製薬社の企業統治と執行役員制度の廃止

business houmu

山口利昭弁護士がロート製薬がこの度発表した執行役員制度の廃止について、日本企業のコーポレート・ガバナンス改革の一環としてモニタリングモデルを標榜する取締役会における「執行と監督の分離」の流れの一例としてブログで紹介しています。同ブログでも触れられている通り、執行役員制度というのは、基本的には従業員で、社内的には役員待遇、すべての業務を網羅しているわけでもないきわめて「あいまいな」役職であり、会社法上にも執行役員なる概念は存在していないにもかかわらず、一般社会では役員と誤解される場合も少なくありません。

アメリカ連邦量刑ガイドラインから学ぶ内部統制

us sentencing

アメリカに連邦量刑ガイドラインというものがあります。犯罪の量刑基準を定めたガイドラインですが、8章は企業に対する罰金の考え方を定めています。その中で犯罪を防止・探知するための有効な措置を講じていた企業は、情状酌量されて、罰金が下がるという考え方が示されています。有効な措置とは何か、条件も定められており、内部統制システムを考えるときの参考になります。ここでは、その条件が記載された部分とそのコメンタリー(解説)をご紹介します。