先見の目:「これからの日本におけるコーポレートガバナンス」(立石信雄(オムロン株式会社代表取締役会長、2001年)

(訳20年前に書かれました。)「…これまで一般に言われてきた日本企業のコーポレートガバナンスの特徴を要約すると、①内部昇進者による取締役会・監査役会の運営、②企業間の株式持合による安定株主化、③メインバンクによる支援体制、といった点があげられる。これらの仕組みは、敵対的な買収を防止し経営の安定化を促進し、企業の長期的な戦略立案を可能にするなど、日本的経営が成功した要因の一つとして評価されてきた。

しかし、取締役や監査役の大部分が内部昇進者で占められ、社長が両者の実質的任免権を持つことにより、取締役会や監査役が利害関係者の集団にとどまってしまい、企業トップ自身が不祥事に深く関わるような場合には、経営に対するチェック機能が働かないという深刻な問題が浮き彫りになってきた。また、株式持合の進行により、互いの経営内容について口を挟まぬ「物言わぬ株主」を増加させ、資本市場からのチェック機能の不全化も招いた。このような経営のチェック機能の弱体化と併せて、株主の権利の軽視や低い投資収益率についての批判もなされるようになった。

セミナーレポート『企業が今後求められるESG関連情報開示への対応とは? 』

2019年11月18日にBDTI主催のESGセミナーを開催しました。 本セミナーでは、今年春にESGに関する情報開示の標準化の流れについての調査研究報告書をまとめられたニッセイ アセット マネジメントのチーフ・アナリスト林寿和氏をお招きして、ESG情報開示を取巻く現状をデータ策定団体、企業、機関投資家、アセットオーナーを俯瞰しながら解説していただき、 続いて英国でESGを研究されていたご経験があり、この度『ビジネスパーソンのためのESGの教科書 英国の戦略に学べ』を上梓された日本総合研究所スペシャリストの黒田一賢氏に、ESG投資の普及を後押しする制度変更が行われた英国等海外の実情、又、内外企業の具体的な事例を用いて優れた情報開示に求められるものをご紹介いただきました。

BDTIの代表理事ニコラス・ベネシュがパネルディスカッションでプレゼンした資料はこちら:「2019.11.18 ESG開示の最新情」。この資料をつかって(1)なぜ投資家の多くはESG開示情報に不満を持っているか、(2)財務状況および長期的のパフォーマンスに影響を与える要因を重視するSASBのESG開示基準の紹介、また、(3)TruValue Labsのビッグデータを活用するESG各付けなどを紹介しました。

KPMG:『コーポレートガバナンスOverview2019 – 有価証券報告書開示充実の本質と社外取締役から見たガバナンス改革の課題 – 』

「2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂から1年が経過しましたが、今もなおコーポレートガバナンス改革を形式的なものから実質的なものへと深化させる取組みは継続しています。2019年1月には、有価証券報告書における情報開示の充実を図るために、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(以下「開示府令」)が公布され、同年3月に、「記述情報の開示に関する原則」および「記述情報の開示好事例集」が公表されました。また、2019年6月には子会社ガバナンスの強化といった守りの側面のみならず、事業ポートフォリオの見直しなど経営資源の適切な配分等、グループとしての企業価値向上につながる攻めのガバナンスの構築を促す目的で「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が公表されています。加えて、スチュワードシップ・コードの改訂も2020年を目途に行われる予定となっています。東証の市場区分の見直しの議論も進んでおり、日本のコーポレートガバナンス改革は第3、第4フェーズへとつながっていくと考えられます。 …

TIIP「日本におけるサステナブル投資:行動アジェンダ」

エグゼクティブサマリー:

世界の運用資産の4 分の1 以上が、経済的持続可能性や環境的・社会的持続可能性を追求する環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素を考慮した「サステナブル(持続可能な)」投資の手法で運用されている。個人投資家も機関投資家も、その資産状況を問わず、サステナブル投資の手法を資金計画や投資ポートフォリオに組み込むことへの関心を高めており、アセットマネジャーや国際金融機関もこの手法を採用した関連サービスや金融商品を拡大している。

日本においてもサステナブル投資への関心が急速に高まり、サステナブル投資残高が急増している。
しかし、こうした関心の高まりや投資残高の増加にもかかわらず、サステナブル投資を採用しているメインストリームの投資家やファイナンシャルアドバイザー、投資コンサルタントは日本ではまだ少数にとどまる。

2019.11.18 会社役員育成機構(BDTI)セミナー『企業が今後求められるESG関連情報開示への対応とは? ~ESG開示情報の標準化その他の流れを考える~ 』

資産運用業界の世界的な潮流であり日本でも今やブームともいえるESG投資ですが、データ策定団体も含め市場のプレーヤーが増えると共に開示媒体、開示方法、格付け基準などが多岐にわたり、ESG開示情報を利用する投資家サイドにも情報を提供する企業担当者サイドにも「ESG疲れ」ともいえる混乱が見受けられます。

日本の機関投資家も自身のESG処方が必要

日本の役員研修を支援する機関投資家のほとんどが日本の機関投資家ではなく海外の機関投資家というのはいったいどういうことでしょうか?

公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)は、「公共・公益に資する」非営利団体として設立しました。日本の市場に必要な役員・ガバナンス研修を質が高くかつ低価格で提供し、こうした役員・ガバナンス研修を日本でも広く普及させるために、 日本の機関投資家も 非課税で支援することが出来る組織として設計し、そのために公益認定を申請しました。しかし、その難しいプロセスを経てBDTIが公益の認可を取得して以降8年たちますが、機関投資家からの寄付金の95%は海外の機関投資家あるいはファンド・マネジャーによるもので、日本の機関投資家からの寄付金は5%未満にとどまっています。しかも日本機関投資家上位30社からの寄付は全くありません。

板垣隆夫氏レポート:『2019年住友化学(株)株主総会(6月21日)出席報告』

「[1]全般概況

ここ数年、コーポレート・ガバナンス(CG)改革の影響を受けて、日本企業のCGは確実に変化しつつあり、株主との対話の場としての株主総会も変貌してきたのは明らかだと思います。当社の株主総会も、参加者は増加傾向にありましたが、今年は更に大幅に増えて、質問も活発で以前と比べると明確に活性化してきたと言えます。しかし、形だけでなく実質的に本当に企業体質は変わったのか、株主と本当に真摯に向き合う株主総会になっているか、その真価を見定めるためには暫く時間が必要です。

●一昨年から、会場が利便性の高いベルサール東京日本橋に移り、参加者は着実に増えています。昨年10月に単元株式数を1,000株から100株に変更した影響もあったのでしょう、今年は更に大幅に増え、会場はほぼ満員状況でした(2017年700人、2018年800人、本年1100人强)。

メトリカル:決算発表が相次いだ5月、CG Top20株価はややアンダーパフォーマンスで終える、取締役会の議長についての考察

取締役会の議長

今月は取締役会の議長に注目してみたいと思います。
約1,800社の中で取締役会の議長を社外取締役が勤めている会社はわずかに27社しかありません。取締役会の舵取りを社外の取締役(独立取締役でない場合も含む)に託すというのは、どれだけ抵抗があることかみて取れます。下記がその27社です。

日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の背景

当ブログに頻繁に訪れる方々は、日本の主要なガバナンス改革に深い関心を寄せておられますが、これらの改革がどのように行われてきたかについては、なかなか知る機会が無いのが現状です。
 カリフォルニア大学バークレー校 政治学教授スティーヴ・K・ヴォ―ゲル氏が、簡潔に分かりやすく、1990年以降の日本におけるコーポレート・ガバナンス改革の歴史をまとめられているので、ご紹介いたします。

「コーポレートガバナンス分析-CGと価値創造とのリンケージ」(BDTI/METRICAL共同研究)

BDTIとMETRICALの共同研究 – CGと価値創造とのリンケージ -が2019年1月31日現在でアップデートされました 。(要約は以下の通りです)

(1) 相関分析: ボードプラクティスとパフォーマンス

ボードプラクティスのファクターにおいて、パフォーマンスと有意性のある正の相関が継続している。

(a) ROE (実績): 指名委員会、女性取締役数、インセンティブ・プラン、
独立取締役比率のファクターが有意性のある正の相関

(b) ROA (実績): 報酬委員会、インセンティブ・プラン(負の相関)、顧問・相談役のファクターが有意性のある相関

(c) Tobins Q: 指名委員会、顧問・相談役、独立取締役比率が有意性のある正の相関