アジア・コーポレート・ガバナンス協会(ACGA)は、2018年12月初めに隔年で公表しているアジア地域のCGレポート『CG Watch』の最新版をCLSAの協力により出版しました。『Hard Decisions: Asia faces tough choices in CG reform(難しい決断:アジアが直面するCG改革の選択)』と題する本調査レポートでは、アジア太平洋地域の12の主要市場をカバーしています。日本は、前回の4位から7位と順位を落としました。
そこで、本セミナーでは、ACGA事務局長のジェミー・アレン氏をお迎えして、調査結果を導くに至ったプロセスと共に、今回の調査で日本が7位となった背景について、日本のコーポレート・ガバナンスは多くの改善点がみられ、必ずしも「後退」を意味しているわけではないものの、(CGコードやスチュワードシップ・コードなど)プリンシプル・ベースの「ソフトロー」ではなく、(例えば、買収ルール、第三者割当、共同エンゲージメント・ルールに関する)「ハードロー」つまり法制度面の規制改革の必要性が高まっている点について詳細に説明していただきます。さらに、企業、投資家、その他のステークホルダーが文化や慣習を今後どのように改善していくのか、ACGAの視点からその方法論を示唆すると共に、タイムリーな話題である少数株主保護といった課題にも触れていただきます。
続くパネルディスカッションでは、経済産業省産業組織課長の坂本里和氏、ユーソニアン・インベストメンツLLCのリサーチ・アナリスト菊地史絵氏、企業年金連合会 年金運用部コーポレートガバナンス担当部長/ヘッジファンド投資担当部長でBDTI理事の北後 健一郎、BDTI代表理事のニコラス・ベネシュも加わり、アレン氏あるいはACGAが提起した問題点について、様々な視点で意見交換していきたいと思います。
CFOを始めとする財務担当者、IR担当者のみならず、取締役会メンバーやこれを支える方、コーポレート・ガバナンスにご関心のある方、投資家サイドのアナリストの皆様にも広く積極的にご参加いただきたいセミナーです。
ACGAは、1999年に香港で創設された会員制の独立系非営利団体で、アジアのコーポレート・ガバナンスの向上を目指し、調査・研究・啓蒙活動をしています。その会員には世界的機関投資家、上場企業、保険会社、金融機関、学術団体、教育機関を含め110以上の優良企業、組織が含まれます。AGCAの会員が世界で運用する純資産残高は30兆ドル超に上ります。https://www.acga-asia.org/
開催日時: 2019年1月29日(火曜日)13時~16時(3時間)
開催場所: 同志社大学東京オフィス
参加費: 一般 5,000円 賛助会員 3,000円
定員: 70名
★お申込みは以下のボタンをクリックして下さい。
【講師略歴】
ジェミー・アレン 氏
ACGA事務局長
アジアのコーポレート・ガバナンスの向上を目指し、調査・研究・啓蒙活動を行う会員制の独立系非営利団体ACGAを1999年に香港で創設し、以来現職。30年以上にわたりアジアのビジネス、ファイナンス、経済についての執筆活動を行い、ACGA創設前はコンサルタントとして多国籍企業のための調査活動に従事。2018年7月にACGAが出版した『Awakening Governance: The evolution of corporate governance in China』の執筆者の一人でもある。これまで、Hong Kong Securities and Futures CommissionのPublic Shareholders Groupのメンバー、香港証券取引所の上場委員会メンバー等を務めた。2013年以来、香港Financial Reporting Council (FRC)のOperations Oversight Committee委員を務める。
坂本 里和 氏
経済産業省経済産業政策局産業組織課長
1995年東京大学法学部卒業、1995年通商産業省入省。 1999年ハーバード法科大学院(LLM)卒業。2000年スタンフォード法科大学院(SPILS)卒業。 2011年~2014年経済産業政策局経済社会政策室長・同企画官。2014年~2015年中小企業庁創業・新事業促進課長。 2015年~2017年商務流通保安グループ商取引監督課長。2017年7月より現職。
菊地 史絵 氏
ユーソニアン・インベストメンツLLC 東京オフィス代表
2004年慶応義塾大学卒業、大和証券入社。2005年~2010年JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社にて機関投資家営業(年金担当)に従事。2011年に渡米し、シカゴにてアドバイザリー・リサーチ・インク入社。2017年、アドバイザリー・リサーチの日本株チームが独立し、ユーソニアン・インベストメンツを設立。ユーソニアン・インベストメンツは、約1200億円運用する日本株運用会社で、バリュー投資を基本哲学としつつ、企業価値を高める為のエンゲージメント活動にも力を入れている。
北後 健一郎
企業年金連合会 年金運用部 コーポレートガバナンス担当部長 / ヘッジファンド投資担当部長
BDTI理事
慶應義塾大学経済学部卒業後、住友銀行入社、米国コロンビア大学ビジネススクール留学を経て、1995年よりニューヨーク支店に15年間勤務。新規業務企画・特命事項担当。自社によるM&Aや他社との大型プロジェクト等、東京の経営陣からの特命事項のNY側リーダーとして従事すると共に、株主価値向上を念頭に資本有効活用として、PE・ヘッジファンド・クレジット等各種投資、新ストラクチャーによるヘッジ、証券化等々を企画・実行。2005年から2010年は米州統括部副部長として、米州本部のCFOを兼務し、北米・南米業務を統括すると共にポートフォリオマネジメントのイニシアチブをリード。2010年帰国後は、同行にてアセットマネジメント業務の国際戦略立案・実行をリード。2014年より現職。海外でのカンファレンスやセミナーで、日本のコーポレート・ガバナンスの現状につき講演等を行っている。また、ヘッジファンド投資の担当部長として、約5000億円のヘッジファンドポートフォリオ投資を統括している。
司会&パネリスト:ニコラス・ベネシュ
BDTI代表理事
米国スタンフォード大学政治学学士号取得後、米国カリフォルニア大学(UCLA)で法律博士号・経営学修士号を取得。旧J.P.モルガンにて11年間勤務。米国カリフォルニア州及びニューヨーク州における弁護士資格、ロンドンと東京で証券外務員資格取得。現在、在日米国商工会議所(ACCJ)の理事兼成長戦略タスクフォース座長を務める。2010年より、法務省と法制審議会会社法部会に対し会社法改正に対して意見を提供している金融庁主催コーポレートガバナンス連絡会議に所属する。これまでに、在日米国商工会議所理事、同対日直接投資タスクフォース座長、内閣府対日直接投資会 議専門部会の外国人特別委員、株式会社アルプスの取締役、スキャンダル後の株式会社LDH(旧名ライブドア)、株式会社セシールの社外取締役を歴任した。その他、JTP代表取締役として数多くのM&Aアドバイザリーを務めた経験を有する。2016年から、イマジカ・ロボット ホールデイングスを株式会社の独立社外取締役に務める。2013年より、日本の成長戦略の一環として金融庁主導のコーポレートガバナンス・コードの策定構想を提案し助言を行う。
【BDTIについて】
役員研修は、実施している会社も多いとは言えず、研修内容も会社によって違います。まだまだ役員研修の分野は未発達です。会社役員育成機構(BDTI)では、各種セミナーに加え、会社法、金商法、CGコード、財務、ケーススタディなど役員として基本的な知識を身につけるための研修一日役員研修「国際ガバナンス塾」をはじめ、一日役員研修英語版のBoot Camp、役員だけでなく現場の方々にも基礎的な会社法やコーポレートガバナンスを理解していただくためのeラーニングなど多様な研修を行っています。