株主利益を無視?―取締役は買付価格にして1.6倍 明らかに好条件の対抗提案を無視できるか

日本のM&Aに一石を投じる案件である。投資ファンドのアスパラントグループが和装のさが美の株式を、さが美の親会社であるユニー・ファミリーマートHDから56円で買い取るTOBを公表したのは8月17日。続く9月27日、こちらも投資ファンドのニューホライズンが、ユニー・ファミリーマートとに対して70円でさが美株式を買い取るという対抗提案を申し入れ、さらに30日には90円に引き上げている。買付価格にして1.6倍、この経済的には明らかに好条件の提案に対して、しかしながら、ユニーはいまだ沈黙を続けたままだ。

日本企業においては、企業価値の最大化が経営陣の第一義的な責務とは、必ずしも考えられてこなかった。ある意味、個人株主の経済的利益をおざなりにしてきたこの企業風土にメスを入れるのが、昨今のコンプライアンス改革である。

日本企業のコンプライアンス意識は果たして変わったのか。ニューホライズンの提案に対するユニー・ファミリーマートの対応は、その試金石となるだろう。事案を詳ししく見ていこう。

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7/11(月)セミナー『突然のTOB-その時どう動く?』

日本企業が海外企業を買収するM&A案件が増加しています。キャッシュリッチな企業が資金の運用先を求め、また先細りする国内需要を海外需要で補う狙いがあるようです。世界的には、同一業界内の企業が関わる大型M&Aが目立ち、大きな業界再編が見込まれています。海外投資ファンドによる日本企業の買収意欲も衰えていません。ある日突然、自社がTOBの対象企業となる、それはどの企業も意識・準備しておくべき事態と言えるでしょう。

他方で、買収防衛策を廃止する企業が増えています。理由は、様々のようですが、金商法によっても、大量買付行為に際して適切な判断をするのに必要な情報・時間が確保できる、という見方もあります。しかし、「敵対的買収者が現れた場合にどうすべきか」では、遅くに失し、株主その他のステークホールダーに対しての責任は十分に果たせなく恐れがあります。当然、社内取締役を含む会社マネジメントは備えを十分に行っておく必要があります。しかし、より重要なのは、独立社外取締役の役割です。

コーポレートガバナンス・コードの制定により取締役会の行為基準は変化し、ステューワードシップ・コードの制定により株主としての機関投資家も、過去とはことなる行動様式を示す可能性があります。敵対的買収者と言っても、その性格及び作戦は異なり、対象会社の取るべき行為も、それに応じて差異が出てきます。

本セミナーでは、独立社外取締役が、様々な敵対的買収者に柔軟に対応できるよう、軸となる考え方を提示します。