2018.10.01 会社役員育成機構(BDTI)セミナー『CGSガイドライン改訂のポイントと今後の課題と対応 ~取締役経験者の視点から~』

2017年3月に経産省が策定した「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)について、今年5月に取りまとめられたCGS研究会の中間整理において、①社外取締役の活用、②指名委員会・報酬委員会の活用、③社長・CEO等の指名・後継者計画、④経営陣幹部の報酬・業績評価等、⑤取締役会議長等に関する見直しの方向性が提言されました。これを受けて、経産省では、CGSガイドラインの改訂版の公表に向けた作業が進められておりますが、中間整理の提言がどのような形で反映されるのかが注目されています。そこで本セミナーでは、経産省経済産業政策局産業組織課長の坂本里和氏をお迎えして、改定内容のポイントとその意図するところ、これにより企業が期待される対応について解説いただきます。

続くパネルディスカッションでは、首都大学東京経営学研究科(大学院)教授の松田千恵子氏、日本マクドナルドホールディングス株式会社社外取締役で当機構理事の上田昌孝、当機構代表理事ニコラス・ベネシュも交え、中央大学法科大学院教授で当機構代表理事の大杉謙一の司会により、改定内容の実施に当たって企業が直面する課題や、具体的な対応策について、変わりつつある取締役会の現状分析等も含め様々な視点で意見交換していきたいと思います。

取締役会メンバーのみならず、取締役会を支える方、コーポレート・ガバナンスにご関心のある方、投資家サイドのアナリストの皆様にも広く積極的にご参加いただきたいセミナーです。

イギリスの新しいコーポレートガバナンスコードの目玉商品は「労働者との対話」

ギリスの新しいコーポレートガバナンスコードです。多分、最も大きいな改革は、「労働者との対話」を原則にしていることです。いくつかの方法は許されています:

1) a director appointed from the workforce, or

2) a formal workforce advisory panel and a designated non-executive director, or

3) or other arrangements which meet the circumstances of the company and the workforce.

「なんでもあり」に感じるかもしれませんが、そのコンプライ方法を開示しなければならないこといなります。そうして、労働者にもちろん説明しなければならない。

CGC 原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮

【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】
上場会社は、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、企業年金が運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組みを行うとともに、そうした取組みの内容を開示すべきである。その際、上場会社は、企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反が適切に管理されるようにすべきである。

改訂されたコーポレートガバナンス・コードであるが、企業が対応に頭を悩ませるものの最たるものが、これではないだろうか。この原則に関し、「企業年金のアセットオーナーとしての実務対応」(ビジネス法務18巻8号34頁2018年6月21日発行)として、その背景や対応策を寄稿したので、ここにその概要を紹介する。

CGコード改訂に関するパブリック・コメントの注目点 (役員研修)

東京証券取引所が6月1日に公表したコーポレートガバナンス・コード改訂版に先立ち募集していたパブリック・コメントの内容とこれに対する同取引所のコメントが合わせて公開されました。BDTIが注力している役員研修(同資料では『取締役のトレーニング』)について、その対象の拡大、具体的内容の開示等のコメントが寄せられ、これに対しエンゲージメントの観点からも積極的な開示が推奨されていることが注目されます。

東京証券取引所:改訂コーポレートガバナンス・コードの公表(2018年6月1日)

「当取引所は、コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という。)の改訂(※)に係る有価証券上場規程の一部改正を行い、本年6月1日から施行します。
今回の改正は、金融庁及び当取引所が事務局をつとめる「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」において、企業と投資家との対話を通じ、コーポレートガバナンス改革をより実質的なものへと深化させていくため、コードの改訂が提言されたことを踏まえ、当該提言に沿って改正を行うものです。

(※)パブリック・コメントにおいて、「ESGに関する対話が進む中、企業のESG要素に関する『情報開示』についてコードに盛り込むべき」との意見が複数寄せられたことを受け、本年3月30日公表の制度要綱で示したコード改訂案に加えて、コードの第3章「考え方」において、「非財務情報」にいわゆるESG要素に関する情報が含まれることを明確化することとします。」

BDTI/METRICAL共同研究アップデート:「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」

BDTIとMETRICALは、「CGプラクティスと価値創造のリンケージ」を共同研究しているが、このほど時価総額約100億円超の約1,800社の上場会社について2018年4月末の分析結果をアップデートした。

本分析では、CGプラクティスをボードプラクティスとアクションに分けて考えた場合、ボードプラクティス(取締役会の運営体系)とアクション(実際の企業行動)が価値の創造の指標とされるROE, ROA, トービンのqと有意性のある相関があるかを分析している。

CGコード導入以来、それ以前に比較して一定程度のボードプラクティスの改善は進んだと言えるが、株式会社の目標が価値の創造であるという前提に立った場合、その改善が価値の創造に繋がっているか定点観測することに意義があると見ている。

今回の分析結果において確認されたことは、次のようにまとめられる。

コーポレートガバナンス・コードの改訂に関するパブリックコメント (ニコラス・ベネシュ)

ニコラス ベネシュ(個人として)
平成30年4月27日

1. CGコードの改訂案全般につい
2. 原則2-6(企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮)について
3. 原則1-4(政策保有株式)について
4. 原則4-1③、原則4-3②及び原則4-3③(CEOの選解任)について
5. 補充原則4-10①(任意の仕組みの活用)について
6. 原則4-14(取締役・監査役のトレーニング)について
7. CG報告書における機械可読フォーマットの改訂について

1. CGコードの改訂案全般について

フォローアップ会議の今回の検証について、皆様のご努力に感謝します。しかし、今回の改訂の提言までには4年もの時間がかかっています。ご存じのように、ドイツではガバナンスコードの実効性を常に監視する委員会があって、必要に応じて毎年でも改訂すべき点が提案されています。我が国の製造業において培われてきた「良いものを作る」、「絶えず改善する」の精神に則り、少なくとも3年に1回は、必ずCGコードの運用改善に向けてレビューするプロセスが実施されるべきであり、予め今後のタイミングとプロセスを設定しておくべきと思料します。そうしなければ、いつの間にか官僚頼みになってしまいます。具体的には、CGコードの冒頭の部分(「コーポレートガバナンス・コードについて」)で、具体的な次期改訂スケジュールを明記することが望ましいと思料します。

ACCJ、会社法制(企業統治)の見直しに関する中間試案にパブリック・コメント提出:タイムリーなCEO選解任を可能に、「執行役員」の条文化

在日米国商工会議所(ACCJ)は、法務省会社法制(企業統治等関係)部会で2018年年2月14日取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」に関する意見を4月12日に提出しました。

意見書では、経済産業省が2017年4月26日の会社法制部会にて提案した内容を支持し、「執行委員を会社法上の機関として制度化し、監査役会設置会社および監査等委員会設置会社の取締役会の決議によって選任できる業務執行者(代表権のあるCEOを含む)とすることを提案する。執行役員に会社法上の指名委員会等設置会社における『執行役』と同様の法的義務および責任を課すことを推奨する。」とし、その理由を以下の通り説明しています。

—-引用—-

①経済産業省は平成29年4月26日の法制審議会の会社法制部会で、「企業統治等に関する規律についての問題意識」にて同様に提案している。

②現行の監査役会設置会社および監査等委員会設置会社の法制度の重大な問題点の一つとして、新たな代表取締役・CEOの候補者としてタイムリーに検討し得る人材の数は非常に限られることが挙げられる。取締役でない業務執行者を株式会社の代表者として選定できるようにすることによってこの問題点の解決を促す。

③監査役会設置会社および監査等委員会設置会社において現在存在する執行役員は法律上規定がなく、執行役員は会社に対して忠実義務、善管注意義務を負わないため、会社の利益より自己の利益(例えば、出世)を優先させる。

④制度化なしの執行役員という役職名は、日本国民や海外投資家の混乱を招く。

経営法友会レポート「役員研修に関するアンケート結果の分析と今後の課題」2016年2月号

2016年の経営法友会のレポートに会社役員育成機構(BDTI)にとって興味深い「役員研修に関するアンケート結果」が掲載されていますので、一部抜粋してご紹介します。

  • アンケート実施時期:2015年6~7月
  • 回答社数:176社(連結売上高1,000億円以上の会社が73.3%)

「CGコードの原則4-14の文言「上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として」から、監督者としての役割を期待しているとも読み取れる。ただし、これまで日本の上場会社の役員研修は、この監督者としての能力向上を目的とすることに重きが置かれてこなかった。・・・取締役、特に社外取締役によるモニタリング能力の向上も視野に入れる必要がある。

  • アンケート結果から見える問題と今後の課題

1.役員研修の実施率について

役員研修実施率は社内取締役に対して53.9%、社外取締役に対して28.9%。アンケート回答会社の73.3%が連結売上1,000億円以上ということを考慮すると、実施率は低いという印象が拭えない。・・・就任時に十分な知識を習得しているケースは稀であると考えられ、役員研修を実施しないことは、新任の取締役に対していささか酷ではないかとの感がある。

経済産業省:「CGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)ー第3回」

2018年2月22日にCGS研究会が開催されました。

企業アンケート調査結果の一部がこちらになります。

取締役会の構成・多様性

・各属性について、社外取締役の選任が進展。
・なお、他社の経営陣幹部経験者を社外取締役として選任している企業は約8割(前回比約5%増加)。
・取締役会の多様性のうち、女性・外国人に着目すると、女性の社外取締役を1人でも選任している企業は約3割。外国人については約5%程度。