九州旅客鉄道株式会社の株主のみなさまへ

ファーツリー・パートナーズ(以下「ファーツリー」といいます。)は、九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」といいます。)の社外取締役として私を選任する株主提案を提出しました。この株主提案の提出は、JR九州の新規株式公開以来、最も長期にその株式を保有するアクティブタイプの最大株主であるファーツリーが、同社に適した新たな取締役候補者を探し出すための対話を同社と重ねてきた末のものです。私は、私のこれまでの専門的な経験と知識が、JR九州の取締役会の現在のニーズに合致しているという信念に基づいて、指名を受けることを承諾しました。特に、私は投資家と企業との対話を重視しており、そのためにアナリストおよび会社役員の両方の経験を役立てることができると考えています。

4月中旬に、私はJR九州の経営陣が何か月もの時間をかけて審査と面談を行った結果、結局は、ファーツリーと検討した全ての候補者を採用しないと決定したことを知り、驚きました。この時に、私はファーツリーから、今年の定時株主総会で提出する株主提案の取締役候補者になるよう依頼されました。日本では、株主提案の候補者が取締役に選任される例はまだ多くありません。それでも、私は株主提案の候補者となることを決心しました。有効なガバナンス及び完全に独立した社外取締役の役割の重要性を強く認識しているからです。ここ数か月でJR九州についてさらに学んだ結果、私は社外取締役として、同社の取締役会に多様性および多角的な視点を提供し、さらにアナリスト、ファンドマネジャー、IR専門職、ガバナンスを担当する会社役員として培った専門性をもってJR九州の取締役会に貢献できると考えるに至りました。私は、JR九州が直面している新型コロナウイルス感染症が引き起こした数々の困難な課題に対処し、同社が本来の力を発揮するためのお役に立てるものと信じています。

また、私は、私がファーツリーから完全に独立していること、ファーツリーに対しても常にそれを伝えていることを公にお伝えしたいと思います。ファーツリーは、外部の人材調査会社を通じて私に連絡をしてきました。それまで私は、ファーツリーの方を誰一人として知りませんでした。私とファーツリーとの間には金銭的な取り決めは一切行われておりません。私がJR九州の取締役として選任された後も、ファーツリーとは独立した関係を保ちます。私はファーツリーの意見を、保有株数に関係なく、他の株主のみなさまからのご意見と同じように扱い、検討します。

私がJR九州の取締役に選任されたなら、広い視野を保ち、偏見を持たないようにいたします。全ての取締役会の付議事項について、公開および非公開の情報を収集して自分自身の意見を持った上で、他の取締役と協議し、経営陣および株主のみなさまのご意見を考慮して、慎重に判断いたします。全てのステークホルダーにとってベストになるような決定を、十分な情報を踏まえて行えるよう尽力いたします。

マーサー 「役員報酬サーベイ-Mercer Executive Remuneration Guides 2019」の結果発表

世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役・島田圭子)は、日本における役員報酬に関する市場調査「Mercer Executive Remuneration Guides (以下、MERG) 」(https://www.mercer.co.jp/about-mercer/lines-of-business/information-solutions/mercer-executive-remuneration-guides.html)の2019年版レポートを発表した。

マーサージャパン組織・人事変革コンサルティング部門の井上康晴は、「『日本再興戦略改訂2014』において、「コーポレートガバナンス改革」が成長戦略の最重要課題の一つとして位置づけられて以降、持続的な企業価値の向上にむけた改革が進んでいる。過去最多の企業に参加いただいた前回サーベイに引き続き、今回のサーベイにおいても多くの企業に参加いただいており、政府の方針や市場の動向に対する関心の高さを表していると考えられる」と述べている。

近年、日本においては、コーポレートガバナンスに関する関心がこれまで以上に高まっている。同部門の亀長尚尋は、「2019年12月に改正会社法が成立・公布されるなど、進展するコーポレートガバナンス改革に企業は一層取り組むことが求められている。2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにより、先進的な取組を行う企業や充実した開示を行う企業は増加傾向にあり、自社の取組・開示の検討に際しては、市場プラクティスや他社事例は非常に有用である。本サーベイでは、報酬データだけでなく、ガバナンスに関する企業の対応状況やサクセッションプラン(後継者計画)の策定・運用等、時流を踏まえて項目をアップデートしているので、ぜひ活用して頂きたい」と述べている。

調査結果ハイライト

  1. 参加企業数は272社(前年比17社減少)
  2. 日系企業における社長の総直接報酬水準(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は9,010万円
  3. 日系企業は「役位」を基準に報酬水準を決定する傾向
  4. 過半数の企業が各報酬レベルでターゲット水準ポリシーを定めており、さらにその約50%の企業がベンチマーク企業群における50%ileを自社の報酬水準のターゲットとして設定
  5. 日系企業の74%が中長期インセンティブ導入済み。日系企業の39%が譲渡制限付株式を導入
  6. 諮問委員会(報酬・指名)の設置状況は、報酬委員会が55%、指名委員会は51%となっており、一般的になりつつある
  7. サクセッションプランは、43%の企業が導入済み、30%が導入を検討
  8. 海外子会社の報酬水準を管理・把握している日系企業は74%

宮島英明教授:「物言う株主と企業 経営改善への実効性向上」

経営改善に向けた株主と企業の対話(エンゲージメント)が注目されている。 並行してアクティビストファンドの活動も目立ち始めた。 日本でのアクティビスト活動の実態と今後の可能性を検討したい。 近年の活動の特徴は、 公式の要求を伴うアクティビズムの成功確率は、欧米にはまだ及ばないが、4割に上昇した。また要求が受諾された場合の株式の超過収益率(CAR)は欧米と同程度の約6%となっている。

年金ガバナンス強化のために

コーポレートガバナンス・コードが最大限に機能するために、スチュワードシップ・コードは実効的に機能しなければなりません。 コーポレート・ガバナンス及びスチュワードシップ改革が実効的に機能するためには、一番大事なのは、企業年金基金のようなend asset owner(「経済的資産保有者」)が真のスチュワードになって、専門的な知識をもってfiduciary dutyを貫くことであります。

取締役候補者からのキリンHDの株主へのメモ

インデペンデントフランチャイズパートナー(IFP)は、菊池 加奈子氏(経験豊富なグローバル製薬幹部)と私を独立社外取締役として指名する株主提案をキリンホールディングス(KH)に提出しました。Glass Lewisは二人の選任を支持していますが、ISSは中途半端な「妥協」をして菊地氏の人材価値を認めながら、どういうわけか私だけを支持しているようです。

ですが現実問題として、投資家が菊地氏を支持してくだされば、取締役会がキリンホールディングスの企業戦略について十分な業界知識・情報・分析に基づいた客観的かつ独立した継続的評価を実際に行う確率が高くなります。このような客観的な評価はキリンホールディングスの将来価値向上には不可欠でしょう。

二人ともIFPとは以前から関係は一切なく、IFPの他の株主提案とも関係がありません。それらの提案については、中立的・独立した姿勢をとっています。 株主が配当提案を支持しない場合、我々が取締役会に参加し、質問できる状態になり、内部分析および機密情報が明らかになるまで、戦略に関する決定を保留することが最も賢明であると考えています。したがって、すべての事実を知る前に事前に決定することなく、二人は取締役会に参加するーこれが、真に独立した取締役として取ることができる唯一の論理的な方法です。私の個人哲学と法的義務はすべての株主に答えることであります。IFPがこれまでに取った、あるいは将来取る可能性のある立場に同意できない可能性があることはIFPに明確な形で伝えています。 IFPはこれで問題はないとしています。(もちろん、逐一IFPの「許可」を得る必要は全然ありませんが。)

多くの投資家は、今こ菊地氏の知識および経験が必要とされているのにも関わらず同氏が選任されなければ、取締役会にグローバルなバイオファーマ企業で経験を持つ人が一人もいないことに気付いていないかもしれません。キリンホールディングスはヘルスサイエンス・バイオファーマなどの分野へ事業の多角化を目指す成長戦略を考えれば、この状況は賢明ではなく、私にとって大きな懸念です。

IFP ― キリンホールディングス Webinarの聴衆からのコメント

Bagle より:2020年3月13日 9:42 pm

フランチャイズパートナーが公表した「キリンホールディングス株式会社 キリンの経営陣はなぜKV2027について独立性のある検証を恐れているのか?(2020年3月)」45ページは役員報酬についての問題点を指摘し修正を提案している。

三菱UFJ信託による信託型株式報酬の修正が総会議案となっているが、グローバルなコーポレートガバナンス の常識からは、以下が問題点と考える。

社外取締役・報酬委員会委員の永易 克典氏は三菱UFJフィナンシャルグループの出身で、グループ会社である信託銀行が信託型株式報酬に関与しており、利益相反の可能性が存在している。この意味では、報酬委員会委員の独立性欠如の可能性が存在する。

フランチャイズ・パートナーズがキリンホールディングスに指名を提案した独立取締役候補として私の立場

私はフランチャイズ・パートナーズ(FP)が指名した「2人の取締役候補」の一人です。一週間前、Bloombergの記事で「半導体試験装置の製造などを手掛けるアドバンテストのニコラス・ベネシュ取締役」として紹介されていたので、Bloombergに連絡しました。このような書き方では誤解を生むので、今後報道する時は直してください、とお願いしました。私の独立性とバックグラウンドが正しく報道されるよう、その記者に伝えた事をここに書きます。 

ニコラス・ベネシュ:「コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス ~社外取締役としての証券アナリストの可能性~ 」

2019年12月11日に日本証券アナリスト協会にて弊機構代表理事のニコラス・ベネシュが表題の講演を行いました。以下に講演要旨を掲載致します。

当日の資料(全文)はこちら:「コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス」 (以下の画像は一部のみです。)

目次

  1. サマリーとBDTIの紹介
      ~なぜガバナンス情報分析および役員研修が重要か
  2. コーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの関係
  3. 投資家に対するアドバイスおよび、今後の研究の展望とAppendix
  4. 独立社外取締役としての証券アナリスト
    質疑応答

今日話す2つの主なテーマは、1つ目はコーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの関係、2つ目に、社外取締役としての証券アナリストの可能性である。

サマリーとして、ガバナンス改善の効果はあり、これからも期待できるとしているが(資料3頁)、道半ばである。機関投資家は意思表示しているが、エンゲージメントにおいて、まだまだ具体的な期待値・要望を書面で詳しく書いてない。しかしながら、少しずつ向上しているので、政策保有株の壁の崩壊もいずれ3~4年以内に起きると思える。役員研修や近代的な人事制度・慣行の方針や政策については、各社がレベルアップする必要がある。超過パフォーマンスと相関関係のありそうな有意な要因は徐々に見えてきた。例えば、当法人の今までの分析では、独立社外取締役が50%以上であることや、人事諮問委員会の存在、大株主の存在などはその有意な要因であると示されている。また、会社が約30年以下で若くなればなるほど、平均値のパフォーマンスが上がることが見つかっている。皆、そうではないかと思っていたと思うが、政策保有株が少ないほど、だいたいパフォーマンスが良いことを後述する。今日の1つのメインテーマ、因果関係がどの方向へ行っているかについて話をする。

その前に、会社役員育成機構(BDTI)について紹介する(資料5頁)。日本証券アナリスト協会と同様に、内閣府の立ち合い調査を受けている公益法人だ。ちょうど10年前に設立し、1年半後に公益認定を受けた。受けた1つの目的は、単純に日本政府に、歴史上初めて、取締役の研修をすることが社会にとって良いことであることを正式に認めてもらいたかったからである。それまで日本政府は、金融庁も経済産業省もどこも、役員研修は良いことだと間接的にも促したことは一度もなかった。周知のとおり公益認定を受けるプロセスは大変であり、数回この申請を取り下げた方がいいかもしれないと言われたが、あえて我々は取り下げず、理解ある官僚のおかげで最終的に認定を受けた。

日本証券アナリスト協会講演:コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンスの因果関係分析

2019年12月11日に弊機構代表理事のニコラス・ベネシュが日本証券アナリスト協会で講演を行いました。

サマリーとBDTIの紹介
  ~なぜガバナンス情報分析および役員研修が重要
コーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの関係・因果関係
投資家に対するアドバイスおよび、今後の研究の展望とAppendix
独立社外取締役としての証券アナリスト

スピーチの一部:「今日話す2つの主なテーマは、1つ目はコーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの関係、2つ目に、社外取締役としての証券アナリストの可能性だ。サマリーとして、ガバナンス改善の効果はあり、これからも期待できるとしているが(資料3頁)、道半ばである。機関投資家は意思表示しているが、エンゲージメントにおいて、まだまだ十分に具体的な期待値・要望を書面で詳しく書いていない。質量ともに有効性として不十分と思っている。ただ、だんだんと向上しているので、政策保有株の壁と言っているものの崩壊もいずれ3~4年以内に起きると思える。役員研修や近代的な人事制度・慣行の方針や政策については、各社がレベルアップする必要がある。超過パフォーマンスと相関関係のありそうな有意な要因は徐々に見えてきた。例えば、当法人の今までの分析では、独立社外取締役が50%以上であることや、人事諮問委員会の存在、大株主の存在などはその有意な要因でありそうと示されている。また、会社が若いほど、だいたい30年以下で若くなればなるほど、平均値のパフォーマンスが上がることが見つかっている。皆、そうではないかと思っていたと思うが、政策保有株が少ないほど、だいたいパフォーマンスが良いことを後述する。今日の1つのメインテーマ、因果関係がどの方向へ行っているかについて話をする。…」

日本証券アナリスト協会の講演資料はこちら:コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス~社外取締役としての証券アナリストの可能性~

36頁には、 コーポレートガバナンスと企業パフォーマンスの因果関係についての(今までの)分析結果のサマリーがあります。個々のプラクティスについての因果関係の分析の説明は頁23~33にあります。