ディスカッション・フォーラム

大和総研レポート『米国のコーポレートガバナンス改革 ~大手企業と運用機関が共同で提言書を発表~』

大和総研常務執行役員 牧野正俊氏が、米国の著名投資家、運用機関のトップ、米国を代表する大手企業のCEO等で構成されたグループが7月に発表したコーポレート・ガバナンスのあり方についての提言書の内容を同社コラムにて紹介しています。

「株主の権利の平等という観点から、議決権種類株式の導入には否定的である。提言書は「議決権種類株式を導入している場合、企業は一定の時限措置等を採ることを検討すべきである」としている。2004年にグーグルが上場した際、創業者の議決権確保のために議決権種類株式が用いられたことがきっかけとなり、その後、IT関連企業が相次いで議決権種類株式を導入した。このような方法は、経営陣による長期的な視点に立った経営を可能にする一方、年金基金や機関投資家からの批判は少なくない。」

10月5日(水)セミナー『不可分となったサイバーセキュリティと経営』

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「お宅のサーバから攻撃を受けた。うちの企業秘密が盗まれた痕跡もある。説明と謝罪のため、大至急社長が来るように。」取引先からこのような連絡が来ることを想定していますか。近時、セキュリティ事故は大きなニュースになります。ところが、自社には盗まれるほど重要な情報はない、可能性の低いサイバー攻撃に手はかけられない、といった理由で、対策が二の次になっている例があります。対策の遅れた企業のサーバは、攻撃者の踏み台に利用され、他社への攻撃に使われることがあります。利用され被害者だったはずの企業が、他社への攻撃者になってしまうのです。冒頭の連絡をしてきた取引先との関係に亀裂が入ることは想像に難くありません。サイバーセキュリティは、今や事業活動に重大な影響を及ぼすリスクとなり、さらには企業の社会的責任の一環となり始めています。

経済産業省は、2015年12月「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を発表しました。その中では、経営者のリーダーシップの重要性が繰り返し説かれ、経営者が認識すべき3原則、担当者に指示すべき重要10項目が挙げられています。サーバ、ネットワーク、アプリなどに関する、この技術的・専門的分野で、技術者でなく経営者の責任が重要視されています。

コーポレートガバナンス国際比較法

8月上旬、東京大学法科大学院のサマースクールに参加した。今年のテーマはコーポレートガバナンス。様々な法域から訪日した7名の教授陣による国際比較法講座となり、さらには経済学からの視点も合わさって、大変興味深い内容であった。比較法で重要な軸となるのが「機能」。プリンシパル・エージェンシーコストのうち、株主・経営陣間にあるそれを軽減するという機能から見ると、独立取締役、敵対的TOB、proxy-fight、株主代表訴訟が同列に論じられるというのが、今更ながらに新鮮であった。

ドイツから来たハラルド・バウム教授は、BDTIのアドバイザーでもある。ドイツは、1861年から2層式のスーパーバイザリーボードという機関設計をとり、経営と監督の分離が確立している。しかし、監督者の多くは、経営陣や大株主と関係を持っており、さらには1976年からは従業員代表取締役も加わることとなって、さらに内部者色が強まった。経営陣や大株主から隔絶した「独立取締役」というアイデアは、創業家の影響力の前に、未だ浸透が進まないようである。詳しくは、バウム教授のレポート”The Rise of the Independent Director: A Historical and Comparative Perspective”を参考にされたい。

創業家の影響力については、日本の上場企業でも経営陣との対立を巡ってしばしば話題を呼ぶ。イギリスのメイ首相はコーポレートガバナンス規制の改革を表明し、ドイツ式の従業員代表取締役に感心を寄せている。今後、ドイツのコーポレートガバナンスが注目される機会が増えそうである。

スチュワードシップコードが実効的に機能するために、年金ガバナンス強化の具体策を提言する

年金ガバナンス強化はアベノミクスのガバナンス改革を完成するのに不可欠

コーポレートガバナンス・コードが最大限に機能するために、スチュワードシップ・コードは実効的に機能しなければなりません。いくら「建設的な対話」と唱えても、本来、ファンドマネジャーにとって対話活動及び議決権行使は「コスト・センター」であって手間暇がかかるので、そのファンドマネジャーの重要顧客がその活動を具体的に求めなければ、どちらかと言えば運用業者は手を抜いて表面上の行動で済ませがちです。

残念ながらあ、政府の努力にもかかわらず、日本ではこの「インベストメント・チェーン」には大きいな問題がまだ残っています。ファンドマネジャーの一番重要な顧客は年金基金です。多額の額の掛け金を定期的に委託してくれるのですから、神様のようなものです。年金基金がファンドマネジャーの選定に当たってスチュワードシップ活動およびESG分析が重要な基準であることを明確にすれば、あっという間に「建設的な対話」は半分PRようなものと思われている「コスト・センター」ではなくなります。

ところが、スチュワードシップコードの受け入れを表明した何百社の機関投資家の中には、何社の非金融上場企業の年金基金が含まれていると思いますか?現時点では、一社のみです(セコムの年金基金)。たった一社!これでは、同コードがそのフル・ポテンシャルを発揮するはずがありません。

日本政策投資銀行『リスク情報の統合開示―統合報告にみる新しい財務報告の視座―』

「会計は、この制度資本に該当しており、社会的共通資本としてのさらなる会計の役割の向上が期待されている。それは、次の(1)~(6)の試みによって実現可能となる。グローバルリスクに晒されている現代の企業は、(1)多種多様なリスクを識別・評価できるようにリスク情報を統合開示して、(2)価値創造プロセスに係わるビジネスモデルを明確化していなければならない。そのためには、(3)リスクマネジメントの強化が不可欠であり、(4)財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、自然資本および社会関連資本に分類される資本の増減または移転によるアウトカムの開示が、アウトプットの開示に加えて必要である。そうすることによって、(5)広範なステークホルダーを意識した情報開示への取り組みが促され、(6)サステナビリティ情報の開示を積極的に行うことができるようになる。」

http://www.dbj.jp/ricf/pdf/research/DBJ_EconomicsToday_36_07.pdf

11/14(月)セミナー 『~エンゲージメントの前に経営者が知っておきたい~ 「投資される経営」とは? 長期的な企業価値創造のための経営視点とスキルとは?』

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近年、政府の成長戦略の柱のひとつとして企業の「持続的成長」、「企業価値創造」が頻繁に論じられるようになりました。また、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードが策定され、機関投資家は企業との「エンゲージメント(対話)」に積極的に取り組むことが求められています。そして、企業にはこれらの投資家に対し真摯に説明する姿勢が要求されています。ところがこの両者の対話が望まれるほど噛み合わないケースが対話機会の増加と共に増えています。要因は双方に存在しますが、今回は投資家サイドの論客をお招きし、企業経営者、特に取締役会のメンバーに長期投資家の視点から自社がどのように見えるか、今後どのように見せたいのかを考えていただく機会とするセミナーを開催いたします。

最初にみさき投資株式会社代表取締役社長で6月に日本経済新聞出版社から『投資される経営 売買される経営』を上梓された中神康議氏をお招きし、日頃の企業との対話の中で経営者から出される「なぜあの会社は長期投資され、うちの会社は短期売買ばかりされるのか…。」「うちは長期投資ですと言いながらいつの間にか売り抜けられていたり、業績が悪い競合のほうがむしろ長期に投資されていたりするのはなぜか?」といった疑問に投資家の実像を明らかにしながらお答えいただくと共に、長期投資家が投資したいと考える経営について、また短期売買される経営との分岐点とはなにかを実例を交えながら語っていただきます。

日本政策投資銀行『有価証券報告書における定性情報の分析と活用―リスクの多様化にともなう望ましい対話のあり方―』

「リスク情報と企業価値の関連性が強まる一方で、リスクの多様化によってステークホルダーとのコミュニケーションを図るための開示のあり方がいっそう難しくなってきている。[…]つまり「事業等のリスク」の信頼性をあげるために具体的、数字的な裏づけを求め過ぎることは、社会的なリスクを含めリスクが多様化していることから難しい場面が増加する。さらには個別リスクの対応に追われ、本当に重要なリスクの開示をためらうことで、かえって投資家に重要なリスクが伝わらず、企業のレジリエンスが十分に把握できなくなる危険性をはらんでいる。」

http://www.dbj.jp/ricf/pdf/research/DBJ_EconomicsToday_37_01.pdf

8/29(月)セミナー『不正行為リスク:測定方法と低減策 ~ 「チーフ倫理オフィサー」の役割と日本における倫理基準ベンチマーク・プロジェクト』締切

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近年、「不正行為リスク」と「企業倫理」は規制当局、コンプライアンス・オフィサー、機関投資家の間で流行語になっています。企業にとって、はたして社内で不正行為が行われる可能性を測定することはできるのでしょうか? 何が企業風土を測定する最善慣行と考えられているでしょうか?従業員に対する分析的な調査によって、潜在的に問題になるかもしれない考えを探り出すことは可能なのでしょうか?

海外では、過去15年ほど、企業における不正行為と倫理違反行為のリスク測定やリスク管理の手法について多くの改善が見られており、企業内に専門の部署が設置されることはあります。海外ではこれらの手法を実際に活用するため、多くの企業が「チーフ倫理オフィサー」といった執行役員のポジションを作っています。こうしたポジションは日本ではほとんど見られませんが、海外の多くの組織では不可欠なものになってきており、BDTIでも日本企業にとって実効性のある役割ではないかと考えています。

CG向上に不可欠な『役員力』強化のための唯一の公益法人BDTI

月刊『人材教育』8月号にBDTIの記事広告を掲載しました。
需要が増加している一日役員研修の他、昨年来充実を図ってきたe-Learningの『会社法』『金商法』『コーポレート・ガバナンス(基礎編)』『コーポレート・ガバナンス(実践編)』の全講座を何名でもご利用できる法人向け研修ツール『e-Learning無制限パッケージ』をご紹介しています。

日本総研:『 実効的な取締役等選任をサポートする日本版スキル&インテリジェンスマトリックスの必要性』

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/8885.pdf

「コーポレートガバナンス・コードは株主を含むステークホルダーに対する配慮を企業に求めており、 「日本版スキル&インテリジェンスマトリックス」において社会全体についての見識・洞察である 「インテリジェンス」を取締役等選任基準に含める必要がある。すでに一部の日本企業ではマトリッ クスという形式を採用していないものの、取締役等に求める経験・素養の一部を公表している場合が ある。今後は、多くの企業が「日本版スキル&インテリジェンスマトリックス」として包括的な選任 基準およびその説明を公表することにより、株主だけでなく、他のステークホルダーに対しても透明 性を確保することが望まれる。」