企業開示情報の著作権の取扱についての提言

ニコラス ベネシュ (個人として)
2018年6月25
  1. 企業開示情報の果たす役割
  2. 対象となる企業開示情報
  3. AIの活用と著作権法上の問題点
  4. オープンデータに関する政府の取り組みでは解決されないこと
  5. 提言
  1. 企業開示情報の果たす役割

上場企業のコーポレートガバナンスの強化に関して、機関投資家の受託者責任を定めたスチュワードシップ・コードが制定される一方、企業に対してはコーポレートガバナンス・コードの遵守が求められ、これらが車の両輪となって機能することにより、日本企業の持続的な成長が促されることが期待される。その際に重要となるのが各種の企業開示情報である。多くの企業情報がインターネット上に溢れかえっているデータマイニングの時代において、多数の企業(例えば東証一部上場企業の全社)のデータをいかに的確に把握して効率的に比較・分析・検討するかが投資家にとっての重要な関心事であり、そのような比較検討を容易に行えるような環境を整えることは、コーポレートガバナンスの更なる充実に向けた重要課題と言える。

金融審議会ディスクロージャーWGに係る意見 (ニコラス・ベネシュ)

ニコラス ベネシュ(個人として)
平成30年5月18日
  1. 総論

企業の持続的・長期的な成長のため、いわゆるESG(環境・社会・ガバナンス)の投資手法が日本でも広まってきていますが、私はこれまで、この中でも特に「G(ガバナンス)」が重要であるという認識のもと、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードの制定・発展に寄与すべく、金融庁や日本取引所グループ等に対して様々な働きかけを行ってきました。今では、日本のコーポレートガバナンスは、(もちろんまだ不十分な点も多いですが)世界的に見ても急激な発展を遂げていると評価できます。

そうした中、企業情報の開示・提供は、企業と投資家を結び付ける重要事項です。しかしながら、今のままでは、この点で日本は主要国から遅れを取る恐れがあると言わざるを得ません。いかに近代的なコーポレートガバナンス原則の枠組みを構築しても、多数の企業の比較分析が可能な形でそれぞれの企業の現状が投資家に伝わらなければ画に描いた餅になってしまいます。コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードを車の「両輪」として機能させるため、企業情報の開示・提供のあり方を検証し、整備することは、今日本において最も必要な喫緊の課題であると考えています。(このことは、コーポレートガバナンス・コードを提唱する時から私が強調していた点です[1]。)

以下、この点に関して私がお伝えしたい点をいくつか述べます。

コーポレートガバナンス・コードの改訂に関するパブリックコメント (ニコラス・ベネシュ)

ニコラス ベネシュ(個人として)
平成30年4月27日

1. CGコードの改訂案全般につい
2. 原則2-6(企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮)について
3. 原則1-4(政策保有株式)について
4. 原則4-1③、原則4-3②及び原則4-3③(CEOの選解任)について
5. 補充原則4-10①(任意の仕組みの活用)について
6. 原則4-14(取締役・監査役のトレーニング)について
7. CG報告書における機械可読フォーマットの改訂について

1. CGコードの改訂案全般について

フォローアップ会議の今回の検証について、皆様のご努力に感謝します。しかし、今回の改訂の提言までには4年もの時間がかかっています。ご存じのように、ドイツではガバナンスコードの実効性を常に監視する委員会があって、必要に応じて毎年でも改訂すべき点が提案されています。我が国の製造業において培われてきた「良いものを作る」、「絶えず改善する」の精神に則り、少なくとも3年に1回は、必ずCGコードの運用改善に向けてレビューするプロセスが実施されるべきであり、予め今後のタイミングとプロセスを設定しておくべきと思料します。そうしなければ、いつの間にか官僚頼みになってしまいます。具体的には、CGコードの冒頭の部分(「コーポレートガバナンス・コードについて」)で、具体的な次期改訂スケジュールを明記することが望ましいと思料します。

「コーポレートガバナンスの充実と企業価値向上に向けた東証の取組み」(株懇・TSE)

8月に東京証券取引所と東京株式懇話会が協力して「コーポレートガバナンスの充実と企業価値向上に向けた東証の取組み」をテーマに講演会と意見交換を2日間にわたり4回実施し、756名が出席しました。

詳細は以下の資料をご覧下さい。

http://bit.ly/2edjMqe

 

日本取引所グループ:「会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取締役会のあり方」 の公表について」

tse

「東証と金融庁が共同で開催している「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(座長 池尾和人 慶應義塾大学経済学部教授)では、取締役会のあり方に関する意見書を以下のとおり公表しましたので、お知らせいたします。」

意見書:http://www.jpx.co.jp/news/1020/20160218-01.html

コード制定後、コーポレートガバナンス報告書の英語版を提出した企業は何社でしょうか? 全体の約10%に過ぎません

ガバナンス・コートは英語の情報開示を促しているが、直近12ケ月の間、東京証券取引所(TSE)にコーポレートガバナンス報告書の英語版を提出した企業数は15社に過ぎません。(中にはガバナンス・コートの制定後に提出した企業はその約10%に当たる10社あります。

ZUU online:「コーポレートガバナンス報告書~コード適用後1か月の提出状況~」

「当該30社のうち、20社がすべての原則をComply(実施)するとし、残る10社が特定の原則についてComply(実施)しない理由をExplain(説明)している。それぞれの具体的な企業名は図表1のとおり。

10社がExplainした「実施しない原則」は延べ36件。そのうち29件は、「現在検討中」、「来年度実施」、「今後の検討課題」といった検討状況や実施時期の説明である。提出時点ではExplainとして記載はされているが、今後、Complyが予定ないし期待されるものであり、実質的にはComplyと同義であろう。

日経: 「海外投資家も総会出やすく 政府、成長戦略の柱に 」

「政府は海外の投資家も日本企業の株主総会に出席しやすい環境を整える。海外投資家が株を預けている信託銀行が名義上の株主でも、株主総会に出席できるようルールを作る。招集手続きの電子化を進め、決算短信や有価証券報告書など投資家に開示する情報の重複も減らす。日本企業の情報を把握しやすくなるようにして投資を促す。

今月末にまとめる成長戦略の柱として環境整備の方向性を示す。、、、」 (続く)

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO88336090R20C15A6NN1000/ 

これは全部、私を含めて多くの方が前々からお願いしていることで、とてもいいことです。一つだけ残念なのは、記事の最後に「総会の日程を後ろにずらすことも企業に要請する」と書いてありますが、実はコーポレートガバナンス・コードの内容ではそのように要請す機会でした。しかし、そこで実行しなかったのが残念です。(私はこの問題に対応するコード項目を金融庁などに提案しておりましたが、なぜか金融庁とTSEはそのチャンスを使わなかったことになりました。)