
ゴーン氏の刑事事件が進行している。刑事事件だけではことは終わらない。日産が投資家から民事事件を提起されるのは、時間の問題である。ゴーン氏の報酬過少記載に起因して、日産からはかなりの資産が流出すると見込まれる。資産流出の一番大きな部分を占めるのは、投資家が提起する損害賠償請求訴訟であろう。一体いくらの資産流出となるのか、計算を試みた。投資家からの請求に利用される条文の中心となるのは、金融商品取引法21条の2第2項である。この条文は、立証責任を被告に転換し、公表日の前1ヶ月間の株価平均と、公表日の後1ヶ月間の株価平均を計算し、その差分を損害であると推定する。