神戸製鋼事件を考える(続き5)

神戸製鋼が批判されるポイントの一つに、長期間広範な問題を経営層(の一部)が知らなかった、また知らなかったとすることで現場に責任を押し付けたかのように見える、という点がありました。神戸製鋼の経営層が無責任無関心だったとは思いませんし、知りたくても知らなかったというのは、偽らざる本音だと思います。経営層と現場の関係について記載された次の記事に、納得しました。
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1801/05/news039.html

このような関係が本当であったとして、これまで現場任せになっていた品質管理について、経営層はどう関与すれば良いのでしょうか。さらに取締役会が関与する必要はあるのでしょうか。また必要があるとしてもどう関与したら良いのでしょうか。経営層や取締役会が品質管理の現場プロセスに入り込んで行くことは無理ですし、必要もないと思います。しかし、報告を受け、問題を把握し、対策をとることができるだけの関与は必要でしょう。品質管理は技術知識を必要としますが、技術者集団ではない経営層や取締役会は、何を共通言語にして対話をしたら良いのでしょうか。

神戸製鋼最終報告書P62には、次のくだりがあります。
「各事業部門の製品の出荷判定を行う品質保証部署を統括するとともに、事業部横断的に品質監査を行う目的で2018年1月1日に本社組織として品質統括部を設置した。また、各事業部門の品質保証に係る情報(品質経営指標、クレーム等)の収集と課題の把握を行い、それらを定期的に経営幹部に報告・共有することにより品質保証体制強化に係る全社施策につなげる。」
「品質経営指標」とはどのようなものか分かりませんが、共通言語を設定して、対話をして行くことが宣言されているのだと捉えました。

また、同P69には次のくだりがあります。
「不適切行為そのものは製造後の検査やその後の処理の過程で発生したが、顧客仕様に対する自社の工程能力を受注時に把握できていなかったことが、不適切行為の動機につながったと考えられる。そこで、素材系事業において工程能力を示す工程能力指数や種々の管理図等の統計的手法の活用を図る。」
工程能力指数や管理図といった、品質管理のツールを使って、ブラックボックス化した現場品質管理の透明性を高め、非専門家にも説明できるだけの客観性を持たせる方針であると解しました。経営層や取締役会も、手法の基礎的な知識は押さえ、報告を理解する素養が求められていると思います。

日本の製造業の高い品質に不安の影が立ち込めています。これに立ち向かうイニシアチブも始まっています。一般財団法人日本科学技術連盟に、品質経営懇話会ができたそうです。
https://www.juse.jp/konwakai/about/
「経営トップの品質経営への意識向上と品質担当役員の役割・必要性を認識・実践していただき、現状の品質管理の在り方だけでなく、経営者層が実践しなければならないTQMの姿をも議論して参りたいと考えております。」
経営層に必要な素養が議論されるものと期待しています。

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