フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告(案)

金融審議会市場ワーキング・グループ「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」は、12月2日、第3回会合を開催し、『フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告(案)』を公表しました。

「本ルールの具体的内容
(1)本ルールの対象となる情報の範囲と運用・エンフォースメント

① 本ルールの対象となる情報の範囲
本ルールは、公平かつ適時な情報開示に対する市場の信頼を確保するためのものであることから、欧米の制度と同様に、投資判断に影響を及ぼす重要な情報を対象とすることが適当である。対象となる重要な情報の範囲を検討するに当たっては、本ルールの適用に際して、発行者が、本ルールを踏まえて適切に情報管理することが可能となるようにするとともに、情報の受領者である投資家においても、発行者から提供される情報が本ルールの対象となるかどうかの判断が可能となるようにし、本ルールの対象となると思料する場合には発行者に対して注意喚起できるようにすることで、発行者と投資家の対話の中で何が重要な情報であるかについて、プラクティスを積み上げることができるようにすることが望ましい。このため、具体的な情報の範囲としては、インサイダー取引規制の対象となる情報の範囲をベースとすることが考えられる。その際、近年の証券会社への行政処分の原因となった事例を踏まえると、例えば、公表直前の決算情報であれば、機関決定に至っていない情報や軽微基準の範囲を超えない情報であっても、投資者の投資判断に影響を及ぼす重要な情報となる場合があり得ると考えられるため、こうした情報を全て対象から外してよいかという問題がある。

したがって、本ルールの対象となる情報の範囲については、インサイダー取引規制の対象となる情報の範囲と基本的に一致させつつ、それ以外の情報のうち、発行者又は金融商品に関係する未公表の確定的な情報であって、公表されれば発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性があるものを含めることが考えられる。なお、工場見学や事業別説明会で提供されるような情報など、他の情報と組み合わさることによって投資判断に影響を及ぼし得るものの、その情報のみでは、直ちに投資判断に影響を及ぼすとはいえない情報(い
わゆるモザイク情報)は、本ルールの対象外とすることが適当である。

② 本ルールの運用・エンフォースメント
発行者と投資家との対話を促進するためには、発行者による積極的な情報提供が行われることが重要であり、そのための環境整備を行っていくことが重要な課題となっている。本ルールに抵触した場合の対応についても、発行者にまずは情報の速やかな公表を促し、これに適切な対応がとられなければ、行政的に指示・命令を行うことによって、本ルールの実効性を確保することが適当である。

(2)本ルールの対象となる情報提供者の範囲

本ルールは、発行者に対して、公平かつ適時な情報開示を求めるものであることから、本ルールの対象となる情報提供者の範囲については、発行者の業務遂行において情報提供に関する役割を果たし、それに責任を有する者に限定することが適当である。具体的には、発行者の役員のほか、従業員、使用人及び代理人のうち、後述の情報受領者への情報を伝達する業務上の役割が想定される者に限定
することが適当である。

(3)本ルールの対象となる情報受領者の範囲

本ルールは、発行者による公平かつ適時な情報開示に対する市場の信頼を確保するためのルールであり、また、金融商品取引法が資本市場に関わる者を律する法律であることも踏まえると、本ルールの対象となる情報受領者の範囲は、有価証券の売買に関与する蓋然性が高いと想定される以下の者とすることが適切である。証券会社、投資運用業者、投資顧問業者、投資法人、信用格付業者などの有価証券に係る売買や財務内容等の分析結果を第三者へ提供することを業として行う者、その役員や従業員発行者から得られる情報に基づいて発行者の有価証券を売買することが想定される者

(4)公表を必要としない情報提供

発行者が行う様々な事業活動の中においては、例えば、証券会社に資金調達の相談をする場合など、本ルールの対象となるような情報提供を正当な事業活動として行うことが必要な状況が想定される。この際には、当該情報受領者が発行者に対して、当該情報につき、第三者に伝達しない義務(守秘義務)、及び投資判断に利用しない義務を負っていれば1、市場の信頼が害されるおそれは少ないと考えられる。そこで、本ルールの対象となる上記(3)に掲げる者への情報提供であっても、当該情報受領者が発行者に対して上記の義務を負っている場合には、公表を必要としないこととすることが適当である。

上記の情報受領者が、守秘義務に違反して当該情報を他者に伝え、その伝達の事実を発行者が把握した場合、EU では、情報の秘密性が保たれていないことを理由として、発行者に情報の公表義務が課されている。一方、米国では、そのような場合に、発行者には情報の公表義務は課されていない。

本ルールが公平かつ適時な情報開示に対する市場の信頼を確保するためのものであることを踏まえれば、上記(3)に掲げる者への情報提供を行った際にはこの情報受領者が守秘義務を負うことから公表を行わなかったが、その後、この情報受領者が守秘義務に違反して、上記(3)に掲げる者に該当する守秘義務等を負わない他者に情報を伝達したことを発行者が把握した場合には、本ルールに基づき発行者に情報の公表を求めることが考えられる。

(5)情報の公表方法
情報の公表方法については、発行者による速やかな公表や個人投資家等のアクセスの容易性といった観点を踏まえ、法定開示(EDINET)及び金融商品取引所の規則に基づく適時開示(TDnet)のほか、当該発行者のホームページによる公表を認めることが適当である。」

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