ISSの2017年の日本向け改定案: 「相談役・顧問制度を規定する定款変更への対応」

ISSは相談役・顧問制度に反対する主旨のポリシー提案を検討中です。同時に、経済産業省は同制度についての調査を行います。この動きは、私は個人として何年も前から相談役・顧問などを問題として指摘してきたことが間接的な結果ですが、実はISSには最近全然これについて話し合っておりません。むしろ、色々なところから「過去の『先輩』だった相談役・顧問の詳細(報酬も含めて)について何の開示もないし、善管注意義務を負わないので悪影響を与える場合もある」という認識がだんだんと高まりました。

「相談役・顧問制度を規定する定款変更への対応」

改定の背景

日本企業では、社長・会長経験者などが、退任後も相談役や顧問などの役職に就き、何年も会社に残ることが珍しくありません。相談役や顧問のような役職を持つ人々には、多くの場合、報酬が支払われ役員時代同様のオフィスや諸手当をはじめとする待遇も用意されます。しかしながら、相談役や顧問は取締役でないかぎり、その活動や報酬が開示されることはほとんどなく、また株主に対する受託者責任を負うこともありません。責任を問われることがない相談役や顧問が時として大きな影響力を持つことの弊害は、東芝の粉飾決算事件をきっかけに、改めて注目を集めています。

ポリシー改定案の概要

2017 年 2 月開催の株主総会から、相談役・顧問制度を新たに定款に規定しようとする場合、その定款変更に反対を推奨します。ただし相談役や顧問を取締役の役職として規定する定款変更については、必要あれば株主はその取締役に対して責任を問うことができるため、反対は推奨しません。

ポリシー改定の意図と影響

ISS の調査(2016 年 6 月総会開催企業を対象)によると、28%の企業で相談役・顧問制度が定款に規定されていますが、新たに相談役・顧問制度を定款変更により規定する企業はかなり少ないと想定され、ポリシー改定の直接的な影響(ISS による反対推奨の増加)は少ないと考えられます。

このポリシー改定の意図は、社長・会長経験者などが、相談役や顧問のような株主から責任を問われることのない立場から影で影響力を行使することに対して、投資家の懸念が高まっていることを、メッセージとして市場に伝えることにあります。社長・会長経験者などが相談役や顧問として会社に残ると、後継者である現在の社長・会長にとって、前任者が決めた経営戦略を変更することは、それが会社にとって望ましい内容でも、実行は困難です。また、社長・会長経験者などが会社に残り続けることは、そうした人たちが他の会社で社外取締役として務める機会の減少につながり、日本で社外取締役候補者の人材プールが充実しにくい一因といえます。

コメントの募集

このポリシー改定案について、特に下記の点についてご意見をお聞かせください。

  • 会社が相談役・顧問制度を定款に規定する場合、ISS はその定款変更に反対を推奨すべきでしょうか。
  • また、その理由をお聞かせください。

 

「ISS はポリシー改定案についてオープンコメントを募集します。ご意見は 2016 年 11 月 9 日までにお名前と所属組織名を明記の上、日本語もしくは英語で jp-research@issgovernance.com まで電子メールにてご提出下さい。なお、提出された意見に対し個別に回答する予定はありません。」

https://www.issgovernance.com/file/policy/iss-policy-update-japanese.pdf

ニコラス ベネシュ

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