(ロイター) 焦点:経団連が企業統治推進へ行動原則、規制への慎重姿勢転換

[東京 24日 ロイター] – 「日本経済団体連合会は、会員企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)を強化するため、独自の「行動原則」の策定に着手する。企業統治の面で規制強化に慎重だったこれまでの立場を転換、国際的な潮流や政府の動きを踏まえ、経団連として主体的に取り組む方向へ舵を切る。今夏にも作業部会をスタートし、来年の素案取りまとめ、2016年の導入を目指す。

日本企業の企業統治をめぐっては、海外投資家などから制度の拡充を求める声が出ており、政府も成長戦略の一環に位置付けて制度整備を進めてきた。こうした流れを踏まえ、経団連では欧米型とは違う独自の原則を打ち出し、前向きの対応を示す。

策定する行動原則では、企業統治に関して各企業の経営判断を尊重する。そのうえで、そうした経営判断にいたった理由について詳細な情報開示を求める案が有力となっている。

具体的には、社外取締役の設置の有無や、委員会設置会社などの企業統治形態について、選択は各企業の経営判断に委ねる。この上で、例えば社外取締役を設置してもしなくても、その判断の理由を詳細に開示するよう義務付ける。企業ごとに規模・業態、経営環境、最適な企業統治のあり方などが異なることに配慮する一方、企業に説明責任を課し、投資家が各社のガバナンス姿勢を評価する際の材料を提供する。

経団連はすでに社会的責任の順守を申し合わせた「企業行動憲章」を設けているが、今回の「行動原則」の導入はその抜本改正として位置づける。項目をより具体化し、会員企業への拘束力も強める。

今夏にも、外部から有識者や実務家、投資家などを招いて作業部会を設置し、議論を開始。素案がまとまった段階で、意見公募の実施も想定する。外部の意見を取り込むことで、策定プロセスの透明性を高め、海外の先進各国で導入が進む企業統治に関する行動原則「コーポレート・ガバナンス・コード」と同等の透明性、信頼性を確保する考え。

日本の上場企業は約3500社。大手を中心に構成される経団連の会員企業約1300社のうち約7割を上場企業が占めており、企業統治の強化に動く経団連の取り組みは、各社の具体的な対応に影響しそうだ。 

日本企業の企業統治に関しては、オリンパスの粉飾事件などを受け、外国人投資家などから、規制強化や透明性の向上を求める意見が出ている。政府は企業統治の強化を成長戦略の一環と位置付け、昨秋策定の会社法改正案で見送った社外取締役の設置義務付けも、法施行から2年後に再検討する方針だ。コーポレート・ガバナンス・コードに関しても、6月改定の成長戦略に盛り込む方向で、自民党での検討が進んでいる。

こうした流れを踏まえて経団連は、自ら行動原則の策定に動くことで、企業統治の面での自主性を確保する構えとみられる。英国などでも企業統治の行動原則の策定で経済界が自ら動いた経緯があり、日本の政府内にも国内経済界の主体的な取り組みを待望する声があった。

ただ、海外のコーポレート・ガバナンス・コードでは、目指すべきベスト・プラクティス(最善慣行)を示した上で「コンプライ・オア・エクスプレイン(従うか、さもなくば説明せよ)」を求める実質的な強制力の強い形式が主流。自民党で策定が進む行動原則も、こうした海外の事例を参考にしている。経営判断の自主性を重視する経団連の行動原則は、投資家などからどの程度の理解が集まるか、政府の考え方とどう整合性を持たせるか、などが今後の議論での焦点になりそうだ。」

(平田紀之 編集:北松克朗)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DA08120140424

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